非実施の定義とウェディングプランナーの存在意義
<ブライダル業界を私的に考察する⑧>
結婚式の非実施がよく問題視されるが、じゃあ「非実施」とは何なの?ですよね。
ゼクシィブライダル総研の定義
結婚した時期を「2016年4月~2017年3月」と回答した、20~49歳の既婚者を対象にして調査した結果をネットで公表している。その結果は「披露宴」を実施した層は55.3%。食事会や挙式のみのお客様も含めると、80.7%はセレモニーを実施しているそうだ。
そうなると非実施は2割存在する。これをどう解釈するか?ですよね。
余談ですが、肌感覚では当調査結果以上に、もっと非実施は増えていると思います。これは、あくまで!私の個人的な肌感覚なのであてになりませんが。
非実施レイヤー
さて、本題に戻ります。
非実施の中にも結婚式に対する温度感はレイヤー状になっていると思う。
- もともと結婚式をやりたかったが、色々調べた挙句、費用などの問題で断念しているカップル。←高温度
- もともと結婚式をやりたかったが、結婚情報誌やポータルサイトなどでちょっと調べて、自分に合った会場や挙式スタイルをなかなか見つられず、理想としてきた結婚式とはまったく合致しないスタイルが「一般的な結婚式はこれ!」と紹介されるのをたくさん見るうちに、「自分は少数派なんだ」とテンションが下がってしまったカップル。←中温度(思い込み層)
- そもそも結婚式に「あまり」興味がないし、料金や手間と割が合わないと判断したカップル。←低温度(タダ・簡単ならやらなくもない層)
- そもそも結婚式に「まったく」興味がないうえ、「イタイ」儀式だとすら思っているカップル。←超低温度(タダでもやらない層)
- そもそも結婚・入籍という制度自体にも疑問があるカップル。←価値観が完全に別ステータス層
・・・とざ~っくり言うと、こんな感じだと思います。
④⑤のカップルは信念・矜持の上で非実施の方なので、私たちの力が及ばない、及びづらいカップル様です。
※ただ④に関してはネット情報を鵜呑みにしてしまっている②の「思い込み層」であることもありますが・・・
問題は①~③ですよね。これはブライダル業界の広告の偏りからくる偏見が生んでいます。結婚式には色々なスタイルがあるし方法がある。なのに「ある一定の結婚式をやたらクローズアップ」する広告業界と、それに迎合する我々結婚式場が、結婚式に無用な「定番・多数派」を作り出し、結果、偏見を生み、「非実施」という少数派を作り出したと思う。
普通の結婚式/そうでない結婚式
のような、そもそもありもしない定義を広告が植えつけている。結婚式は自由なのにね。ぜーんぶ「あり」な結婚式なのに、少数派を作り出すような広告が蔓延していることが、非実施を結婚式から遠ざけているのだ。
このことは、業界全体で改善しなければならない。一番最悪なのは、結婚式が一般的にはなじみが薄い(知識が少ない)儀式であることをいいことに、見学カップルに対して「一般的には○○ですよ~」とか「みなさん○○してますよ~」などと言って、多数派同調バイアスをかけ、自分たちの都合の良い結婚式を押し付けようとしているウェディングプランナー。そんなのない。もちろん、貸切時間とか設備維持のため、やれることやれないことはあります。でも、「普通の結婚式ってこれ」みたいなスタンスをウェディングプランナーがとることで「結婚式ってやっぱりやりたくない」と思うカップルもいることを忘れてはいけない。ウェディングプランナーは自分の固定観念を押し付けるのではなく、お客様の気持ちをちゃんとカタチにするためにあるのだ。
ウェディングプランナーの存在価値
その上で、ウェディングプランナーの存在価値を考えると、①~③のカップルに「結婚式やろうか!」と思ってもらえたら、すごいことだと思う。
不要なものをカットして料金プランの幅を広く設定したり、結婚式の良さをしっかりと説明したり。
やるき満々のカップルに会場説明することは、研修や経験を積めば誰でもできる。そうじゃなくて、結婚式の価値を広めたり、時代のニーズに合わせてプランを組みなおしたり変化させたりする。これが、ウェディングプランナーの存在意義だと思っています。
ブライダル業界考察(全10回)・関連記事
2018年11月1日
2018年10月26日
2018年10月23日
2018年10月14日
2018年07月19日
2017年12月10日
2017年6月9日
2017年5月1日
2017年1月27日
2016年5月6日日