プリミティブウェディングとは?
<ブライダル業界を私的に考察する②>
NEST by THE SEAの目指す「プリミティブウェディングとはどんなものか?
私は話をするのが苦手なので、いつも説明がぼんやりしてしまいます。そこで長文になりますがごこのブログで説明します。
Primitiveとは
Primitiveとは「原始の、初期の、太古の、昔の、原始的な、未開の、幼稚な、素朴な、古風な、旧式の」という意味ですが、私はこのうち「素朴な」という意味で使っています。
ウェディングとはそもそも素朴なイベントでした。家族で式を挙げ、友人を家に招いて宴会をする。そういったアットホームなものでした。
素朴から豪華に
かつて素朴だった結婚式は、どんどん豪華になりました。ウェディング業界も収益性の高い豪華な結婚式を奨励しました。お客様も「おもてなし」=「豪華」という価値になって、ウェディング業界とお客様の利害関係が合致し、結婚式文化は「豪華な宴会こそ結婚式らしい」という価値に硬直化してきました。「アットホームな結婚式」と標榜しても、まるでホワイトハウスみたいな豪華な建物で結婚式を挙げたりするのが、今の日本の結婚式の常識です。
豪華な結婚式を決して否定しません
● 豪華なものが好き
● 豪華にしておいたほうがゲストに対して無難
● 一生に一度なんだから豪華がいい
● 親族・友人への見栄もある
いろんな嗜好や事情があるので豪華な結婚式も必要だと思います
問題は豪華な結婚式「ばかり」だということ
どの結婚式場も同じベクトルで豪華競争をするので「豪華=おもてなし」だとは考えない人にとっては「式をしたい結婚式場がない」ことになりました。価値が硬直化した結婚式業界は魅力が衰え、結果「なし婚層」が増加する要因になっていると思います。
ウェディング業界にとって「豪華一本やり」のほうが都合がいい
そもそも「豪華さ」とは「プレゼントの箱」でしかなく、大切なのは「中身(アイデア)」、すなわち「ゲストに対してどういう心の込め方があるのか」だと思います。しかし残念ながらウェディング業界全体を見渡すと、けっこう同じようなアイデアばかり。アイデアが出つくしたこともあるかもしれませんが、本当の理由は、あまりにも細かいアイデアばかりで結婚式を構成すると、お客様に御代をいただきにくく効率が低い作業が増えてしまうので、アイデア出しに強いリミッターがかかるからだと思います。(東京の「●レイジーウェディング」さんみたいに、しっかりと作業代を請求できる稀有なプロデュース会社さんもありますが)。そこでウェディング業界は「豪華!」という価値でアイデアを一本化・硬直化させ、その範囲でオリジナリティを発揮する効率運用をする。豪華さというプレゼントの箱で包んで、無難な結婚式を作っている。「豪華=お金を遣う」なので収益性も高い。商売なので仕方がないが、これは結婚式が巨大産業になってしまったことの副作用だと思う。
「豪華さ」とは「まごころ」の表現を邪魔する
私は時として「豪華!」とか「キレイに整っている」とか「無難」みたいなことが感動を薄れさせるがあると思っています。良い例えか分かりませんが、ドラマ「北の国から」で息子(純)が上京する際に、父親(五郎)が長距離トラック運転手(演)に便乗させてもらう謝礼として泥がついたお金を渡すというシーンがある。
決して裕福ではないが子供を思い、毎日働いて作ったお金であること、真心が詰まっていることがすぐに分かるシーンです。そしてこれはピン札で、「謝礼」であることの礼儀も忘れてはいない。
同じシーンで↓こうだったら?
こういうキレイな包み紙のほうが礼儀としては好ましいかもしれません。人によってはお金に泥が付いたら、キレイなお札に差し替える人もいるかもしれません。
でも泥が付いたほうが誠意を感じる
本当に精一杯の真心だと分かる
少なくとも「泥が付いてるから誠意がない」とは思わない
誠意という中身さえしっかりあれば箱などは最低限で良く、むしろ邪魔にさえなると思います。それどころか「箱さえきれいなら中身はなんでも」みたいな発想が業界内とお客様に芽生えてしまいます。数年前に起きたホテル・結婚式場の「牛肉偽装問題」がまさにそれ(※弊社は問題ありませんでした)。提供する側が「豪華に見えりゃなんでもいいんだ」みたいな風潮の温床になってしまう危険性がある。
「素朴なもの」に原点回帰
なので今一度、結婚式を「素朴なもの」に原点回帰させて、本当に必要なものをそろえ、豪華でなくても下手でもいいのでできるだけ自分たちの手作りのものを取り入れて、お客様をおもてなしする。正直、手作り&持込が増えると利益が大幅に下がりますが、そんな結婚式場がひとつぐらいあってもいいなぁと思いNESTを作りました。
まずは自分たちが変わる
豪華・整っている・無難であれば
ゲストに誠意が伝わるというわけではない
まずは結婚式を提供する側の私たちが、ハードや接客方法、商品構成を素朴なものにして、お客様に「肩の力を抜いてもらう環境」を整える。力が抜けたお客様は視野が広がって、自分たちのルーツやアイデンティティを振り返る。そこからゲストに対する感謝の気持ちの表現方法を見つけて、下手でも無骨でもいいので、ひとつの結婚式を作り上げる。そんな結婚式、必ずゲストの心に届くし、自分たちの誇らしい思い出になります。
ある意味「豪華さというごまかし」が効かないので、スタッフもちゃんと提案しなければならないし、逆に調度品などはすべて本物のアンティークにしないといけないし、ハードルは上がりますが、これが私たちのお客様への誠実な対応であると思うし、ウェディング業界への貢献だと思います。
これがプリミティブウェディングの意味です
・・・長っ!!!
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