2019年02月10日

多様性を保つために~ニコニコ哲学を読んで~

ニコニコ哲学-川上量生の胸のうち

たまに本を読むが、最近読んだもので「ニコニコ哲学-川上量生の胸のうち」という本がある。「ニコニコ動画を育てあげ、KADOKAWA・DWANGOのトップとなった川上量生氏が生き方、働き方の哲学を語りつくす。」というものだ。読みやすく、数時間でサクっと読了できます。

 

業界が成熟すると多様性は失われる

具体的な内容は置いておいて、私が強く共感したのが「業界が拡大すると実は多様性は失われる」という趣旨の章だ。多くの出店者がいて、利用者がいる業界になればなるほど、多様性は減っていく。とういう内容が書いてあって、我が意を得たりでした。
 

多様性が失われるメカニズム

業界が成熟するということは、つまり、供給側(お店)も増え、需要側(お客様)も増える。その中で色々なお店があってバラエティに富んでいて、多様性が進むようではあるが、実はそうではない。
 
供給サイドが増えるということは、業界内での競争も激しくなるわけで、競合同士が成績(売上)を渇望するようになる。一方で、マスが好むものは決まっている。コンテンツはある程度種類が限られている。上を目指せば目指すほど、成績を求めれば求めるほど、供給側が提供するコンテンツは限定され、絞られ、同質化する。
 
上位になればなるほど、同じコンテンツを「見せ方だけ」で差別化して、違うように見せてはいる。つまり、よく見れば同じものを「包装を変えてだす」ことをしてはいるが、実態的には業界上位の企業になればなるほど多様性は下がり、同じコンテンツで埋め尽くされていく。
 
上位企業がは同じコンテンツに埋め尽くされれば、それが拡大し、気づけば業界全体が同じようなもので埋め尽くされていく。
 
つまり、ひとつの業界が成熟すればするほど、多様性は失われていってしまうのだ。
これが多様性が失われるメカニズムだ。
 

結婚式場や写真館

結婚式場や写真館の業界も同じではないだろうか?同じものをお互いに売っているので価格競争をしたり目先を変えただけの売り方をしている。仮に、多様性を保とうとして、マスには響きにくいコンテンツを開発して提供したとしても、立ち上げ当初は需要が少ないし、企業体力がなければ続かない。多様性の可能性がある業態を育てる地盤がないのだ。
 
特にウェディングの広告は、一定の広告会社が独占してしまっているので、よほど意識的にその独占企業が多様性を考えて「これからのコンテンツ」を育てないと、上位にいない小さな企業だけでは、多様性を保てないメカニズムになっている。
 

多様性は必要

ここまで多様性にこだわってはいるが、じゃあ「多様性って必要なの?」という点では、私はシンプルに必要だと感じている。理由もシンプルで、選択の幅が狭い業界に人は魅力を感じないと信じているからです。
 
例えば、テレビ業界がそういう状態ではないでしょうか?「今、視聴率が稼げるコンテンツ」には限りがある。数字が欲しいので、結果、どのチャンネルを観ても同じような番組ばかりなってしまった。一方で、AmazonプライムやNETFLIXなどサブスクの動画コンテンツ提供業界は多様性があり、有料にもかかわらず加入者は増えている。
 
つまりは、そういうことじゃないかなぁ。
 
多様性の反意語が「定番」「王道」なら、それは一定数必要です。でもそれは「多様性の中の選択肢のひとつ」にとどまらなければならい。我々のよう業界の下位にいる中小企業まで「上位企業に右に倣(なら)え」のような経営をしてしまっては、余計に業界そのものの縮小を招いてしまうので、いかんなぁと痛感している。
 

逆に言えば多様性こそ中小企業の活路

いまさら上位の企業が多様性うんぬんに対して真剣に取り組むとも思えない。業界が縮小して消耗戦になれば、それはそれで体力のある上位企業からすれば戦いやすいからだ。
 
では、我々中小企業はどうすれば良いのか?やっぱり上位企業がやらない、業界の多様性に資する店を作っていくことだと思う。それが活路だ。
 
結果的に、業界の多様性が保たれるメカニズムは「中小企業の必死の頑張り」であって、上位企業はそれを踏み台にしてよくあるコンテンツを大量に生産していくのだろう。
 
とはいえ弊社も「零細企業」ではない。中途半端な中小企業で、ある程度の数字も求められるし、それでいて業界に多様性をもたらすような新しいチャレンジもしないといけない。本当にコントロールが難しい。
 
ただ、弊社のような会社で働くことを望む人は挑戦的だし、いわゆる意識高い系だと思います。安定していて、給与水準が高い大手で働く人を否定はしないが、そこにある仕事は多様性が失われている可能性が高い。私もかつては大手企業のサラリーマンだったので、痛いほどそれが分かる。小さな会社のほうが、新しいチャレンジをしないといけない分、自分を高めてくれるチャンスは多いかもしれませんね。