中古車

私はここ8年ばかり
ずーっと中古車に乗っている。
 
まだ天寿を全うしていない
余力のある車を捨てないで使うのが心地いい。
 
最新最新!という風潮・風土のなかで
こうした自分が好きだったが
ヨーロッパの文化はもともとその傾向が強く
ここ数年ではアメリカでも古いものを使うステイタスが上がり
中古という価値が変わってきている。
 
私が好きなテレビ番組に「オーバーホール 改造車の世界」
というものがある。
 
簡単に説明すると「古い車をリペアする番組」だ。
 
でも「ただリペアする」だけではない。
リペアする車の選択が良いのだ。
 
リペアされる車は
〇持ち主や家族の思い出や思い入れがあるものの
〇諸般の事情で故障したまま放置されている
そんな車を番組の負担でリペアして持ち主に返すのだ。
 
車そのものが「物」としてもつ
性能とか希少性とか話題性という価値軸ではなく、
個人の思い入れ軸で選択するので
ストーリーをもった車がリペアされるのだ。
まさに「古い物を扱う番組の真髄」ここにあり、だ。
 
だから、リペアされた車と持ち主のご対面のシーンは
だいたい涙のシーンになる。
新しい車に買い換えてもらったことでは得られない
感動の涙なのだと思う。
 
この番組が人気なのはそういう点が大きいと思う。
車好きが観ても飽きないテクニカルな情報もあるが
人・ストーリーが生み出す感動は
車好きでなくても観ていて引き込まれる。
 
一方で弊社の結婚式場で言うと
〇迎賓館サクラヒルズ川上別荘
〇川地家
〇NAGASE
〇ネストバイザシー
などは「古い物をリペアした」結婚式場だ。
 
建物自体にストーリーがある。
建物が今日まで残ってきたこと自体が「奇跡」であるうえ
大切にしてきた人々の思いがあって
できたてホヤホヤのまっさらな結婚式場にはない
ハートフルさがある。
 
工場製品とアンティークの差と言えば分かりやすいだろうか。
 
そもそも何十年も「大切」にされ続ける建物が日本には少ないし
結婚式場となると皆無に等しい。
大切にされ続けるという価値が結婚という儀式に合っていると思う。
 
今でも結婚式業界は「新しいもの勝ち!」みたいな
スマホみたいな風潮が根強く残っている。
それ自体を否定しないが
車や家具のように「古い物のリペア」にも
深い価値があることもっと広めていく。